さだまさし原作 映画「サクラサク」ストーリー

ストーリー概略

大手家電メーカーに勤める大崎俊介(緒方直人)は部下からの信頼も厚く、将来を嘱望される会社員だ。
重役への出世も目前で、生活は順風満帆なように思えた。
しかし、気付けばその家庭は多くの問題を抱えていた。妻・昭子(南果歩)との関係は冷え切り、二人の間には何年もろくな会話がない。息子の大介(矢野聖人)は、大学受験に失敗してからアルバイトを転々としており、家に帰っても逃げるように自分の部屋に閉じこもってしまう。娘の咲子(美山加恋)は高校生だというのに毎晩帰りが遅く、俊介の忠告も聞かず何を考えているのかわからない。俊介が仕事に追われている間に、家族は確実にバラバラになりかけていた。
周りを見つめるきっかけになったのは、父・俊太郎(藤竜也)が老人性認知症を患ったことだった。大雨の夜、俊太郎は徘徊しているところを警察に保護され、この日を境におかしな行動が増えていく。苦しむ俊太郎を見ても家族は見て見ぬふりで、一切助けようとはしなかった。薄情な家族に俊介は大きく失望し、孤独な父を守ろうとひとり奮闘する。しかし実は、息子の大介が人知れず俊太郎を介護していたことを知る。家族の事を何も考えていないと思っていた息子の優しさあふれる行動を見て、俊介は家族の事を見ようとしていなかったのは自分の方だったと、初めて気付かされる。
ある晩俊介は、俊太郎の遠い過去の物語を聞く。
「家族と暮らした思い出は、敦賀のあのお寺だけだ。春、桜の花が満開で美しかった。」
あいまいな様子で、それでもしっかりとした口調で大事そうにその思い出を語る父を見て、俊介は決意する。
父の遠い記憶を探すため、家族のそれぞれを見つめてまたやり直すため、一家は一台のワゴン車に乗り込み、みんなで初めての旅に出る――。